スモールステップとビックステップ

今回は、「スモールステップとビックステップ」についてお伝えしていこうと思います。

スモールステップとは、目標を立てるとき、大きな目標を立てたら、そこから計算して、大きな目標にたどり着くまでの道のりで小さな目標をいくつも作っていくこと。この小さな目標を、スモールステップといいます。

ビッグステップとは、小さな目標を持たずに、いきなり大きな目標を持つ、ということで、ちょっと唐突すぎるきらいがあります。

私が思うに、自己肯定感の高い人は、ビックステップ手法を取らずに、スモールステップ手法を取る傾向があると思います。

これは、どういうことかというと、自己肯定感の高い人は、成功体験を積み重ねてきている場合が多いので、現実的に、大きな目標にたどり着くためには、小さな目標を少しずつクリアしていくことの重要性を知っているからです。

例えば、１年後、TOEICで800点取りたいという大きな目標があるとします。今は500点ですから、あと300点多くとらなければなりません。

そういった時、今後、3か月後に600点になる、というスモールステップ、小さな目標を立てます。まずは、TOEICのテキストを買ってきて、半分は全問正解するように一生懸命に勉強します。その後、6カ月で、あと100点を上げたいので、700点になりたいです。すると今度は、別のテキストを買い、7割程度正解するように、一生懸命に勉強します。NHKなどの英語番組やラジオなどの英会話放送も有効活用するかもしれません。

次に、9か月後には、もう100点、理想の800点にたどり着きたいと思っています。ですので、3か月だけ、TOEICの専門学校へ通うかもしれません。残り3か月で、本当に目標到達できるための予備期間として、追い上げの勉強をします。

こんなことをしていると、大きな目標に到達するのに、スモールステップ（小さな目標）を積み重ねて、思いを遂げることができるかもしれません。

スモールステップを作るということは、要は、大きな目標に到達するための、現実的で効果的なやり方なのです。

反対に、自己肯定感の低い人は、スモールステップをすっ飛ばして、いきなり、ビックステップに行こうとする傾向があるように、私には思えます。

クライアントさんで、ある女性の方（40代）、A子さんがいました。彼女は、同僚の、キャリアも長く、海外で高等教育を受け、専門のトレーニングを受けた女性と、今すぐ同じ位置に立ちたい、と思っています。彼女の頭の中には、理想像があるだけで、なんら現実的なプランはないのです。

もう一人のクライアントさんで（30代）B子さんは、自分は起業して、すぐにでもビジネスを成功できると思っていました。ですが、ビジネスというのはそんなに甘いものではなく、一歩、一歩、地道な努力が、その礎（いしずえ）を作っていくのです。そして、その一歩、一歩がいつか実を結んで、花となるのです。

ですので、B子さんの場合も、ビッグステップは、「ビジネスで１年後に何とか収入を得るまでになる」という大きな目標を立て、その後、スモールステップを一緒に作りました。1カ月ごとに、その時、やるべきことを詳細に考えていき、スモールステップを作っていきました。

カウンセリングが終わった今、もう1年となりますが、今、彼女は高い自己肯定感を維持しつつ、着実に成功への道を歩んでいます。

このようなケースに多いのは、これら自己肯定感が低い人は、現実的な視野で物事を見るのが苦手、ということにあります。大きな目標を立てるのはいいのですが、それが現実から遠すぎて、でも一気にそこまでいけると錯覚しています。

例えば、A子さんの場合、半年間トレーニングの勉強をしたら、プロとして大活躍している同僚のトレーナーのようになれる、と非現実的な感覚を持ってしまっています。

B子さんの場合も、ビジネスを本当に軌道に乗せるには、最低3年かかると言われていますが、考えが飛躍しすぎていて、すぐに収入が得られるようになると思っています。詐欺でもすれば別ですが（笑）、普通そんなことはあり得ません。

この二人に共通していることは、いつも現実的なプランを立てることが苦手で、理想ばかりを追っていたため、結果、今まで、夢を実現することができていなかった、というところにあります。要は現実にきちんと足を下してないのです。